25歳、サウジにいる友人と私の話
サウジで専門調査員として頑張っている私の大好きな友人の事を書かせてもらいました。何故書かせてもらったかは、また今度書きます。
目次
▪︎はじめに
▪︎出会った頃の話
▪︎人柄
▪︎専門調査員
▪︎アラビア語圏へ
▪︎専門調査員になった目的
▪︎人助けをしたかったのに出来なかった頃
▪︎専門調査員としての彼女のお仕事
▪︎人助けをした話
▪︎ちょっとした会話
▪︎暗い話
▪︎彼女がいる環境
▪︎海老でも剥いといでよ
▪︎折角だからサウジのエッセンスを貴方に
▪︎番外編
▪︎はじめに
2020年12月、サウジアラビアにいる25歳日本人女性は彼女一人だけだと思う。
その境遇の特殊さから、誰もが皆、選ばれし者だと思うだろう。実際私もそう思っている。
志があって、正しい方法で努力をして、積み上げてきたからこそあるポジション。
▪︎出会った頃の話
彼女に初めて出会った6年前。当時は鉄の女、サッチャーの様な完全無欠な、隙のない人だと思っていた。
その頃の私はつるむのが好きだったから、どちらかと言うと同期と土俵を一緒にしたくて、一生懸命付いて行っていた。一方彼女は、その時から常に目の前の選択肢の中から熟考して、自分のやりたい、その時のベストを選び抜いてきた。
きっとそれは、私と出会う前からだろう。元々理系の海洋系を学びたいと思っていた人が、政治学へシフトしたくらいなんだから。
▪︎人柄
でも、そんな彼女は、ちょっぴり自信がない。
自分がやりたい事を、その細い身体からは、想像を遥かに超える体力でこなす彼女は、傍目に見てやっぱり凄い。
だけども、鉄の女かと思いきや、ぼーっとしているかの様に見えた次の瞬間に、ぱっと笑顔を花咲かせ、思い付いた!と言って考えた事を話してくれる。
訥々と、たまには、えーーー分かんない。笑笑 頭を掻きながら自分の話をする彼女の事が好きだ。
自分が積み上げてきた事を知らないかの様な自信なさげな顔で悩み、ちょっと困った笑顔で話す。凄い人だけど、凄い可愛い私の自慢の友人でもある。
▪︎専門調査員
そんな彼女は今サウジアラビアにいる。渡沙して、もう一年が経ったそうだ。(サウジアラビアって略すと沙になるんだって〜!) サウジにて、コロナの自粛期間を過ごす彼女からは、2、3ヶ月に1回くらい、電話しよ!!!!とLINEが届く。嬉しい。
専門調査員。彼女につけられた肩書きはこれだ。彼女から初めて専門調査員になると話を聞いた時は興奮した。専門調査員とは、修士以上、その分野において3年以上の調査・研究実績を有すれば、大学院生、社会人、身分を問わず、数年間間、現地の在外公館(大使館等)で、派遣員として働ける国の制度である。
私も一時期スペイン語を勉強したくて、でも交換留学じゃ差別化できないからという軽い理由で、在外公館派遣員の事を調べていた時期があった。臆病な私は学生の身分の間、周りから2-3年遅れを取る事、そして何よりもやっていける自信が無くて、早々に諦めたけどネ。
(在外公館派遣員は大学生でもなれて、専門調査員は大学院以上じゃないとなれないんだって!)
ほーん。確かにな。なるほどな。彼女みたいな人が専門調査員になるのか。至極納得。気付けば東京外国語大学院に進学して、論文と格闘して、真摯に真摯にアラブ圏に想いを馳せ、誰よりも労力を掛けていた彼女であれば、国として派遣する人材として、間違いないね。
そんな彼女は現在広報担当として、遠くの地で頑張っている。確か渡沙前の学生時代もアラブ圏のどこかの国の大使館か何かで広報を担当していた様な。
▪︎アラビア語圏へ
彼女と出会った当初、彼女が週4回授業を受けて、一生懸命勉強していたのは、フランス語だった。気付けば第三外国語としてアラビア語を選択し、アラビア語圏の国へ長期間の旅行を繰り返していた。チュニジアに行ったかと思いきや、数ヶ月モロッコに行き。帰ってきて集会室の隅っこで、卒業してソラマチで、話を聞く。
昨日、今更ながら質問をしてみた。何でアラビア語圏に興味を持ったの?と。最初は、政治が動いている事が面白そうだな、と思った。と。
▪︎専門調査員になった目的
時を戻そう(シャッシャッシャッシャッ)...話を戻します。
彼女が専門調査員になろうと思った目的は二つ。一つは邦人保護、二つ目は国際的な会議に携わる事。一つ目はコロナだからこそ、より意義と必要性を感じるから燃える。二つ目はコロナによって重要な国際会議が次々とオンライン化され、携われると思っていた大きな仕事が奪われて凹む。そう話していた。
実際に彼女が携わっている仕事は凄い。凄すぎて書けない。色々な問題に抵触してしまう。
今回彼女の話をここで書こうと思う前も常々彼女には、こんな面白い経験(砂漠に詰まった車の救済方法を身に付ける、サウジでBMWに90万で買った三菱で突っ込む等 こういうエピソードだけ見たい人は1番下までスクロールして下さい。)、アナタしか出来ないんだから、本書いてよ。と言っていた。
是非いつか書いても良いなって思えた時に書いてもらえたら、嬉しいな〜。
因みにサウジでは彼女が行く直前に女性も運転出来る様になったと言う。サウジ人は運転だけ荒いが、後はおっとりしているそうで、ぶつかった時も優しかったそうだ。良かった。
▪︎人助けをしたかったのにできなかった頃
結局何がやりたいの?という質問に、彼女はこう答えた。「今まで誰にも話した事はなかったけど、人助けがしたい。」若干もじもじ答える彼女に、ちょっぴり笑ってしまった。大丈夫、あなたが人助けをしたい事は知ってるし、前も話しをしてくれたよ。
前にそんな話を私にしてくれたのは、大学四年生の集会室で胡座を掻いている時だった。どこだったかの長期旅行から帰ってきて、興味深々で私は彼女に駆け寄った。おかえりー!!話聞かせてーーー!!どうだったーーーー!!
その時彼女が聞かせてくれたのは、現地で出会った子供の話だった。可愛いけど貧しい子供。お金をあげて学校に行かせてあげたい。だけどどうしたら良いか分からない。そう彼女はしょぼくれていた。
当時の私はバリバリベンチャー勢とブイブイ学生団体でやっていた頃だったから、起業家精神旺盛な彼らに繋ぐよ!なんか動けるって!!等と根拠の無い自信で励ましていた様に思う。
▪︎専門調査員としての彼女のお仕事
重要な会議は、5回リハーサルをやって、本当舞台みたい。1分単位でスケジュールが決まっていて、気を張り詰めて行動する。配線を準備したり、カメラマンをしたり、メモ出ししたり。ダンスのリハーサルは押すのが前提だけど、こちらは押せない。緊張感、楽しい。合ってると思う。だーけど、コロナで重要な会議がオンラインになって、マジでやる事ない。うぅ〜と凹む。
でもね、コロナだからこそ邦人保護が大切で、そういう時は燃えるよね。警備とかがメインだから全然主担当では無いけれど、だけれども少し関わっただけで、心が熱くなる。
▪︎人助けをした話
会議の対応、日々の広報活動だけではなく、サウジから日本へ留学する学生の選抜にも携わった。コロナで日程が延期される中、2人しかいない奨学生のモチベーションを維持する為、彼女は日々奮闘した。勿論モチベーション維持だけでなく、スケジュールの調整、日本に着いてからのホテルの手配、隔離中の過ごし方まで。やっと派遣が出来て、隔離期間を経て、その学生を日本の大学で、オンラインだけど授業を受けさせられる事が出来た。
私がここにいる意味を感じられるよね、そう彼女は目を輝かせた。結局、私は、誰か一人に寄り添って、その人の為に動きたいんだと思う。ちょっと遠い目をしながらそう言う。
その話を聞きながら、三年前集会室の隅で自分に何が出来るか分からないとしょぼくれていた彼女を思い出し、胸が熱くなった。人を助けたいと思っている人が、正しい方法で努力をすれば、本当に人を助ける事は出来るんだな。
▪︎ちょっとした会話
前は、人を助ける方法が分からないって嘆いてたけど、今は実際に自分のポジションを活かして、助けたい人を助けられてるね!しかもそのポジションって、自分の努力の結果で、、、本当すごい!
あぁ、あの時の話ね、、、少し彼女は俯いて、若干表情を曇らせた。
あの話を思い出すと、自分じゃ助けられない人がいるんだな、と思い出すんだよね。若干虚になった目でそう言う。
ネガティブだねーーーーーと私は笑う。
だけど、笑ってた私もすぐに表情が暗くなる。救おうったって救えない、そんな命がある事すら忘れてるんだ...
▪︎暗い話
私は、問題に対して1番最悪な状況は、その問題に対して無関心である事だと思う。裏を返せば、行動を起こさないまでも、その問題について認識している事が、解決への一歩となる。
だから私は、暗い話をしてごめんね、という彼女にそんな言葉を伝えた。
今年のコンテストに、戦争の映像があるんだよね。うっと胸が詰まっちゃった、、、と、彼女は話し始めた...
▪︎彼女がいる環境
アラビア語圏は、政治が動いている場だから、面白そうと思った。先行研究があまりなく、専門家に話を聞いても、いまいちピンと来なくて、知りたい。そう思った。
そう話している彼女は現在実際にサウジアラビアにいる。もっと言うと四谷区民ホールのステージくらい広い部屋に住んでいる。
まぁ、それは置いといて。
近くでテロがある。銃撃戦がある。隣国との関係性が悪い。爆弾が落ちる。人が傷つく。怪我する。死ぬ。平和を謳う活動をする中、爆弾を落とす人だって、ただの同世代の良いヤツだ。分からなくなる。人助けをしたいのに、平和を謳っているのに。
彼女は気が落ちると三日三晩水分が足りなくなる程泣くと言う。よく気が落ちるのは随分前から知っていたから、そんだけ落ちたら辛いだろうなと思っていたけれど、この話を聞くと確かに気が落ちた時に、自分の精神がコントロール出来なくなった時に、三日三晩泣いてしまうのも、わかる。と思った。
小学校の頃に習った原爆の話、世界史で学んだカンボジアの虐殺の話。書面で読むだけで辛くなる様な環境と隣り合わせて、一人広い部屋の中、だらだらと泣きながら落ち込みながら、頑張る彼女を思い切り抱き締めたい。
▪︎海老でも剥いといでよ。
私、自信が無いの、、、。
知ってるよ。
自信を持ってって言葉だけは素直に入って来ない。
自信を持ってってあなたに言える人は、何も知らないから言えるんだと思うよ。
自信を持つ方法は簡単だと思う。自分に対して期待をしない。ハードルを下げる。そうすると自分の描くゴールがすぐ近くにくるから、それを果たせるから自信がつく。
私自身は何も出来ない人間だと思っているけれど、そもそも自分に期待をしていないから、自信がある。と言うよりか、自信が無くて落ち込む事はあまり無い。昔より少なくなった。でもそれじゃ成長しない。
私の友人の自信が無い組は、目標が高い。そして、その目標に対して誠実だ。きちんと現在の立ち位置が、目標とどれだけかけ離れているか、省みる。だから落ち込む。自信が無くなる。
でもそれで良いと思う。日本中が全員自信で満ち溢れたら、それはもう終わりだ。自信が無くて辛い部分があっても、他の楽しい事で紛らわせれば良い。
自信の無い彼女よ。そのまま自信の無いままでいてくれ。
あなたはいつも目の前しか見ていないけれど、どうしようも無くなったらそこから倒れても良いから。後にも下にも、貴方が作ってきた積み上げてきた道と実績と実力があるから。あなたは大丈夫だよ。私が保障する。
辛くなったら最近ハマってるって言ってたお店で、無心で海老の殻でも剥いて、発散しておいで。
(えーーーー私少し前までドライフラワー作りが趣味だったのにーーーーえーーーん海老剥くーーーーーーと言ってました笑)
▪︎せっかくだからサウジのエッセンスを貴方に
サウジに立つ直前、彼女は我々同期の前で、みんなーーーーーー遊びにきてねーーーーと宣った。好奇心の強い同期達は、えーーー行ってみたーいと横で言ってる中、ぜっったい行かない、やだやだ、と不躾な態度で一度も首を縦に振らなかったのが私だ。
でもサウジにいる彼女と度々話していると、Instagramで彼女in砂漠を見続けていると、何故だか、サウジを身近に感じてしまう。遠いし、熱いし、何もかも環境の異なる国なのに。
折角だから、ここに彼女から聞いたサウジエピソードを記しておく。
・「え?サウナが流行ってるの?キャンプが流行ってるの?サウジのOLは、仕事帰りの砂漠だから🏜💫」
・「サウジで買った90万の三菱でBMWに突っ込んで、警官の言っている事の意味がワケが分からなかった時は絶望だった。」
・「砂漠で車が詰まった時はね、タイヤの空気を少し抜くんだよ。🚖 この方法を知ってる数少ない日本人である自信はある。笑」
・「バレエ通おうと思ったんだけど、月謝55,000円だったんだけど?🩰相場っていくらだったっけ?」
・「明日Edge of the worldって言う観光地に行く。よく分からないから調べてみて。とりあえず道が陥落する可能性があるから、四駆か、SUVで行くらしい。」
(調べてみたらオフロードツアーの事でした。砂漠好きネ。)
・「結局はサウジにいても、休日はNetflix」
(私の妹もフランスでジャニーズJr.チャンネル見てたしなぁ、、、。)
・「やっぱ物価が高くて、ランチディナー関係なく、2-3,000円する。でもコシャリ(短いパスタやお米にミートソースの様なものをかけたエジプト料理)の様なアラブ飯は、250円で食べられる。」
・「レストランに行く前は店内構造を調べてから行く。男性と女性(ファミリー用。大体個室)は別れている事が多くて、男性用だけのお店だと入れないし、テイクアウトだとしても視線が痛い。」
・「同僚から、寿司を食べてから1ヶ月幻覚を見たサウジ人のニュースが送られてきた。」
・「ハマってるのはshrimp nation。無心でニンニクまみれのエビを剥いて食べる。🧄🦐」
(shrimp nation リヤド店)
https://www.instagram.com/shrimpnations/
勿論何て書いてあるかは分からない👼
・「10度台は寒くて仕方がない。」
その他サウジニュース
https://www.mofa.go.jp/mofaj/me_a/me2/sa/page6_000441.html
「日・サウジアラビア外相会談及び茂木外務大臣とアブドルアジーズ・サウジアラビア・エネルギー大臣との会談」2020.10.03 外務省
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66578220U0A121C2FF8000
「サウジ攻撃、重大施設被害 国営石油「供給影響なし」2020.11.24 日経新聞
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/12/d06b715830659366.html
「G20サミット会合、オンラインで開催
(サウジアラビア)」2020.12.01 JETRO
【番外編】
良い女の定義
「女という言葉を使う以上、男性視点から求められる事を満たす事が出来、余裕があったら、オリジナリティを一振りする様なもの。」
、、、鋭いな、と思いました。
その他の我が友人知人の思う、良い女の定義はこちら。
どんな人でありたいか。
「誠実な人でありたい。誠実とは、礼儀正しいとか、良い人とかではなく、良い事も悪い事もきちんと伝える事が出来て、すごくよく考えて、ベストな選択をしようと努力する事。それが誠意だと思う。」
ありたい自分を体現する、彼女の生き様ですね、、、、