あるお方に聞く。ミュージカルは芸術?エンタメ?何で日本でミュージカルは流行らないの?
先日とある友人と「エンタメって何?」「エンタメを提供したい人の気持ちって何?」という話になった。
前者には「エンタメは受け取り手が楽しいと思えばエンタメ」
後者には「楽しませたい気持ち。楽しませられればエンタメ。だから楽しませる手段は沢山あって、それがダンスであれば、ダンスを極める事で観客を楽しませる事の出来る矜持みたいなもの。」
と回答したけどしっくり来なかった。
(因みにその友人は、エンタメとは、食に楽しみを見出す等、人間らしいもの。と答えていた。)
また、先月抱いていた「アイドルは音楽業界。バレエは芸術。ミュージカルは?」という疑問。それら全てについて、見解を持つ大好きなお方に上記の質問をする事が出来た。
参考:
Q1.エンタメとは何ですか?
A1.人を楽しませる事ができるものがエンタメ。
Q2."エンタメを提供する側の誇り"みたいなものについて、どう考えますか?
A2.エンタメと芸術が混同している場合もあるかもね。
Q3.芸術に対する姿勢とは何ですか?
A3.美の追求、芸の追求。安定的なパフォーマンス(面白さなど)を生み出す事を追求する姿勢。
Q4.ステージに立ちたいと思う時はどんな気持ち?
A4.例えば振付師さんがいるのだとしたら、その人の世界観に惹かれて、その一部になりたいと思う時。そのステージは、ダンスだけでなく、衣装、照明、曲順等の要素から、その雰囲気、世界観が生み出されるもの。
Q5.ミュージカルはエンタメ?芸術?
A5.初見の観光客でも楽しめる、言葉以外のビジュアル的な表現でも楽しめる、という観点からはエンタメとも取れるが、業界の方々は芸術としている。シェークスピアも昔はただの言葉遊びとして捉えられてきたが、今や時間を経て文芸となっている。芸術としてみなされる歴史がある。
Q6.日本にミュージカルが根付かないのは何故?
A6.英語を前提としているものだから。子音が多く含まれる台詞から生み出される感動の様なものが日本語だとなかなか表現が難しいと思う。
Q7.ミュージカルに近いものとして、宝塚があると思います。宝塚は日本に根付いていますが、その違いは何だと思いますか?
A7.宝塚はアイドルだと思う。観客に育てる意識がある。
Q8.宝塚、ジャニーズ等、アイドル文化が強く根付いているのは日本の特徴かもしれませんね。海外ではどうですか?
A8.欧米では、学校を卒業した時点で能力的に完璧。完璧な人しか生き残れない世界。日本はそうでなくとも、バイトしながら、等社会に出てから道を極める術がある。
日本については、日本には"かわいい"文化がある。かわいいと感じるものは、未熟であるものらしい。日本人は未熟であるものに対して、応援したい気持ちが強いのかもね。例えばプロ野球は見ないが、甲子園はついつい応援しちゃう。みたいな。
- 確かに日本は未熟を許容するというか、年齢関係なく成長の機会があるかもしれませんね。それは、働き方にも言えることかと思っていて、例えば日本ではジョブローテーション制がとられている事から、管理職になっても全く新しい分野にアサインされる事もある。但し、外資ではジョブ型採用で、最初から最後までそのポジションの役目を、プロとして果たし続けるのが前提にある。
それはひいては個人主義、チーム主義、狩猟か農耕かみたいなところまで遡れそうですね笑
- 確かにそうかもね。例えば特にイギリスでは幼い頃から、子供のベッドが与えられ、小さな大人として扱われる。
- 自他の区別が明確化されるタイミングが早いんですね。
Q9.話は戻りますし、変わりますが、可愛い=未熟=弱みになる気がするのですが。
A9."可愛い"はとっかかりになるよね。神々しいも、美しいも話しかけづらいけど、可愛いならコミュニケーション取ろうと思える。
Q10.先程のミュージカルは英語の方が深く解釈できるという話がありましたが、一方で日本語も美しい言語と言います。日本語が美しいとされる要素はどういったところにあると思いますか。
A10.嬉しい、美しい、温かい等の形容詞を例え等を使う事で、細分化して表現できる事じゃないかしら。
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「シェークスピアも昔はただの言葉遊びとして捉えられてきたが、今や時間を経て文芸となっている。芸術としてみなされる歴史がある。」
これについて、「ジャニーズと日本」を読んだ時に、ジャニーズは意表を突く。だけれど、それが癖になって、広く浸透して、気づけばメインストリームになっているのだ。とあったのを思い出した。
良いとされる時間が長ければ、良いと思う人が多ければ、最初は違和感のあったものも、徐々にクセになり、大衆に受け入れられ、一般化し、サブカルチャーからメインカルチャー、芸術に昇華されるのだ。